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第156話

それから数日後のある日。 いつもの職場。 本日も国近啓介の隣で仕事をしている。 気になりそっと横目で仕事をする国近をみてしまう。 僕の理想の大人像は国近さん。 真面目で仕事ができて、会社のみんなに慕われて、頼りになる大人の男。 今日も職場で会えるから嬉しい。 でも明日は会社が休みだから会えない。 毎日会いたいのに… 国近さん、泊りに来てくれたらな… 「国近さん、週末土日、僕の家に泊りに来ませんか?」 そう思うと同時に言葉にしていた。 「はは、そんなに泊まらせたいのか、何かあるのか?」 嫌な顔などせず笑って答えてくれる。 「いえ…ただ、土日は会社が休みで国近さんに会えないのが、寂しくて…」 「ふ、気に入られたもんだな、まあ、俺のオーラに、だろうがな」 「いえ、僕は…」 「分かった分かった、じゃ泊りに行ってやるよ、今週は用事もないし」 確かにあんな広い屋敷に一人きりじゃ淋しいだろうし… そう思って頷く。 「本当ですか!?嬉しいです」 ぱっと笑顔になり子どものように喜ぶ。 「全く、変わった奴だ本当に」 そんな様子を微笑ましく思いながらも、指導者として、仕事をきちんと終わらせられたらな!と付け加えておくのだった。

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