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《初めてのお泊まり》

東洞尊。 霊媒師だという青年の担当を任され早一ヶ月が過ぎた。 しかし、仕事になかなか集中できず、注意散漫になってしまうせいでなかなか独り立ちできないでいた。 まあ、仕事以外のいわゆる霊現象でバタついて、じっくり仕事について話すこともできなかったから、今回の泊りはいい機会だと思って仕事について、しっかり話し合うつもりだ。 外だと東洞は集中できないようだから…。 日中に家の用事を済ませ、夕方から行く予定だ。 そうして宿泊の荷物を片手に東洞家にやってくる。 相変わらずのでかい屋敷だが、脇のインターフォンを押してみる。 「はい!」 元気良く出たのはこの家の主の東洞尊。 「東洞、きたぞ」 「はい!待っててくださいね!」 そうインターフォンを切る。 「いらっしゃい国近さん!」 嬉しそうに出迎える尊。 「あぁ、優志は来てないのか?」 屋敷に入りながら聞く。 「はい、また出張があって…一週間ほど不在です」 「あいつも忙しいんだな、」 「結界師自体がもともと希少なんです、純粋な血を受け継ぐ結界師は日本に三家しか残っていないんです、そのうちの一つが天河守家ですよ」 「えっ、あいつそんなに貴重な奴なのか?」 「はい、僕なんかより余程貴重な存在です、だから色々外部から依頼が来るんです」 「霊媒師も貴重だろう」 東洞に出会うまで霊媒師や霊能者に会ったことなどない。

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