157 / 300
《初めてのお泊まり》
東洞尊。
霊媒師だという青年の担当を任され早一ヶ月が過ぎた。
しかし、仕事になかなか集中できず、注意散漫になってしまうせいでなかなか独り立ちできないでいた。
まあ、仕事以外のいわゆる霊現象でバタついて、じっくり仕事について話すこともできなかったから、今回の泊りはいい機会だと思って仕事について、しっかり話し合うつもりだ。
外だと東洞は集中できないようだから…。
日中に家の用事を済ませ、夕方から行く予定だ。
そうして宿泊の荷物を片手に東洞家にやってくる。
相変わらずのでかい屋敷だが、脇のインターフォンを押してみる。
「はい!」
元気良く出たのはこの家の主の東洞尊。
「東洞、きたぞ」
「はい!待っててくださいね!」
そうインターフォンを切る。
「いらっしゃい国近さん!」
嬉しそうに出迎える尊。
「あぁ、優志は来てないのか?」
屋敷に入りながら聞く。
「はい、また出張があって…一週間ほど不在です」
「あいつも忙しいんだな、」
「結界師自体がもともと希少なんです、純粋な血を受け継ぐ結界師は日本に三家しか残っていないんです、そのうちの一つが天河守家ですよ」
「えっ、あいつそんなに貴重な奴なのか?」
「はい、僕なんかより余程貴重な存在です、だから色々外部から依頼が来るんです」
「霊媒師も貴重だろう」
東洞に出会うまで霊媒師や霊能者に会ったことなどない。
ともだちにシェアしよう!

