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第158話
「いえ、霊媒師…というか、霊媒体質の人や霊視体質の人は現代でも稀に生まれますが、結界術や符を操れる存在はなかなかいないですから…」
「けど、優志の力は完璧じゃないんだろ?霊がはっきり見えないようだし、お前の方が凄いように思うが…」
「確かに、神霊をかからせることが出来る霊媒師はそんなにいないですが、優志さんの力は、見る力を差し引いても貴重ですよ、強力な結界を張れるのは、僕には出来ないので」
「そうだったのか」
最初のイメージから、気の荒い青年という印象だったが、少し優志を見直す国近。
「えっと、僕の家広いですけど霊媒師関連(シゴト)のもの以外あまり何もないので、何して過ごしましょうか?」
居間に入り不意に聞いてくる東洞。
「テレビも無いのか?」
「ない、です」
「…お前家で何して過ごしているんだ?」
「新聞や本を読んだり、勉強や仕事の記録や復習、符術の練習をしたり、禊したり…色々」
それなりにすることはあるようだが、やはり一般人からはかけ離れた生活だ…。
「禊ってあの冷たい水に毎晩つかるのか?」
「いえ、つかるのは胎内に霊をかからせた時だけです、それ以外にも朝晩、清水で身体を流して清めないといけないので…」
「朝晩毎日!?」
「はい」
「大変だなそれは」
「そうですか?僕にとっては物心ついた頃にはしていた習慣なので苦にはならないですよ」
そう当たり前のように答える。
「はぁ、すごいな、やっぱりお前は」
湯ならまだしも、水浴びなんか朝晩したくない。
「いえ、ただ…朝晩しなくてはいけないので、旅行とか遠出で宿泊できないのが悲しいですが…」
「まあ、そうだろうな」
家から出たがっている東洞にとってはつらいことだろう。
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