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第159話

「でも、国近さんが癒してくれたら禊しなくても大丈夫かもしれないですが」 「え?そうなのか?」 「いえ、わかんないです」 「なんだそりゃ」 「そのくらい国近さんのオーラは清いので…一緒にいられて幸せです」 にこっと笑って純粋に伝えてくる東洞。 「はいはい」 あえて流されないよう淡白な返事をして視線を逸らす。 東洞はオーラに惹かれているだけ… このオーラがなくなったら、こんなに懐くこともないんだろうな… まあ、それで恩が返せるならいくらでも付き合ってやるさ。 そうして夕食の材料を見繕い、夕食を振舞ってやる。 相変わらず嬉しそうに食べている東洞。 「僕、出来ることあまりないんですけど、霊媒は得意なんで、会いたい方がいればおろしましょうか?ゆたかさんとか…」 「ゆたかを降ろせるのか?」 「生まれ変わりがされていなければ可能ですよ、あ、転生していても残留思念を呼ぶこともできますが…」 「ゆたかを…ってお前、霊をおろすと穢れるんだろ?軽々しく力を使うなよ!分かったか?」 亡くなった人ともう一度話せるなら凄いことだが… 妖魔を身体に降ろした時は血を吐いたりしていたくらいだから… 身体に悪いことをわざわざさせる気にはなれない。 そう思って言い聞かせる。 「でも…それくらいしか僕、お礼ができない…」 「何もしなくていいから、やれやれ、優志の苦労が少しわかるな」 「え?どういう意味ですか?」 「もう少し自分を大切にしろってことだ」 「……はい」 真剣に頷いたと思ったらまた笑顔になる東洞。 「ん?なんだ?」 「いえ、国近さんやっぱり優しいですね」 普通の人間なら、霊媒や不思議な力を面白がって使わせたがるのに…国近はそれがない… だから安心していられる。 そっと心で思う。 「馬鹿、注意しているんだからな」 「はーい」 「やれやれ」 それから仕事の話や、霊媒についての話などをしているうちに時間は過ぎて…

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