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第161話
「温泉は掛け流しですが、水道も繋がっているので、温いようでしたら足し湯してくださいね」
「ああ、ありがとう大丈夫だ」
「では僕は禊しますので…」
「ああ、風邪ひくなよ」
「はい」
そう、返事をしたあと東洞は静かになる。
禊の最中は喋らないと言っていたな…
穢れないよう生きるか…
穢れが溜まると死んでしまうんだもんな…
しかも穢れは目に見えないものだから、いつどうなるかも分からない…
そんな中で生きていかなくてはならないんだもんな…
霊媒師…
やはり大変な宿命だ…。
しばらくして…また声をかけてくる東洞。
「国近さん」
「お、終わったのか?なら早く湯につかれ寒いだろう、俺は上がるから」
「いえ、一緒に入っても大丈夫ですか?」
「え、ああ、お前に害がないんならな」
俺と入って穢れとか、何事もないならいいが…
「大丈夫ですよ、国近さんお邪魔します」
東洞は布で前を隠しながら入ってくる。
「いやいやお邪魔してるのは俺だからな、ほら早く入れ」
そう横を開け促してやる。
「ありがとうございます」
広い温泉のような浴槽、二人くらいは楽に入れる。
「冷た…やっぱり身体冷えてるな、はやく温もれよ、肩まで!」
湯船につかる東洞の腕に触れてみるとやはり禊の水で冷え切っている。
「すみません、大丈夫ですよ」
髪を耳にかけながら、そう微笑みかけてくる。
相変わらず色白で細っそりとして男っ気のない東洞。
一見性別を見間違えてしまいそうになる。
「その刺青?結界か、やはり目を引くな…」
その相違を打ち消すよう、胸元の刻印を見て話しかける。
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