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第163話
「え?あぁ、酒でもあれば一番いいがな」
ちょうど風呂上がりに一杯呑みたいところだったが、流石に酒はないか、と思いながら返すと…
「ありますよ、日本酒ですけど呑みます?」
「そうか、ならいただこうか。お前呑まないのに何で日本酒があるんだ?」
「僕も呑めますよ、清酒は身体を清めるのにもいいので」
「えっ?呑めるのか、なら一緒に呑むか?一杯だけ」
「はい!準備しますね」
「俺も手伝うから」
そうしてテーブルにつき日本酒を2人で酌み交わす。
東洞は見た目も幼く純粋なせいか、ついつい子どものように思ってしまうのだが酒が飲める年なんだな、と改めて思い直していた。
「お前も独りで酒、呑むことがあるのか?」
「清酒は儀式の時に飲むくらいで、あまりないですけど、眠れない時とかにはたまに呑みます」
「儀式?」
「神霊を降ろす時には儀式を行って降ろす決まりがあるので…その辺り手順の中に清酒を口にする流れがあります」
「神霊か、失敗したら命が危ないんだろ?」
「はい、父も、それで亡くなりましたから」
「恐ろしいな、母親も儀式で?」
「いえ、母は僕が産まれる時に亡くなりました」
「え?病気か何かで?」
「いえ、僕の霊媒能力が強すぎて…母体を傷つけてしまったんです」
さらっと答える東洞だが…
「え…」
その内容には言葉を失う。
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