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第165話

「そう、ですよね…すみません」 俯く顔がなんとも寂しそうだったので… 「酒が入ると寂しくなるタイプなのか?仕方ないな、お前が寝付くまでそばにいてやるから」 ついつい甘やかせてしまう。 「ありがとうございます」 そう頷く、嬉しそうな東洞の顔を見ると悪い気はしない。 「ほら、早く布団に入れよ、」 「はい」 「俺はここにいるから、眠いなら寝たらいい」 「はい、手…触ってもいいですか?」 「ん?あぁ俺のオーラに触れたいのか…どうだ?気持ちいいか?」 そっと黒髪をとき、額に手を当ててやる。 「はい…とても…」 その手にそっと触れ、瞳を閉じる。 「良かったな、お前、もしかして優志には添い寝してもらってたとか?」 「はい…今は僕が反抗しているのでないですが、高校生の時に少し…怖い目にあいまして…それから眠るとうなされるようになってしまって…落ち着くまで、しばらくの間、優志さんがそばで寝てくれていました」 「そうか…」 過去の出来事… 今でも東洞を苦しめているトラウマだな… 「優志さんとは兄弟のように育ってきて…昔から本当に世話になっています、大学に行きたいと言う僕の我儘も安全に通えるよう一緒に大学に通ってくれて…優志さんの時間を僕の為に使わせてしまって…申し訳なくて…」 「東洞、優志は無理矢理付き合わされているわけじゃないだろう、お前が大切だから、お前の為に動いてくれている…お前は申し訳なく思うんじゃなくて、ただ感謝していればいいから、今度会ったらありがとうを伝えてやれ、それだけで優志は報われる」 そう諭してやる。 「…はい、国近さん」 「ほら、もう休め、また明日な」 「ありがとうございます国近さん、おやすみなさい」 「おやすみ」 そうして東洞が寝付くまでそばに付き添ってやった。 貸してもらった部屋に戻って、少し仕事をしたのち、自分も布団に入って寝ることにする。

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