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第171話

「あるにはありますが、そこは下界…現世で言われる花畑とか桃源郷みたいな綺麗な場所ではないと思います」 「え?」 「僕も実際行ったわけではないので表現が難しいのですが、天界は光があるだけで基本何もない場所です」 「何もない?三途の川とかは?」 「それは魂が浄化される前に魂の記憶が見させている幻なんですよ」 「魂の記憶、幻?」 「はい、寿命を全うし、生を終えた魂は天界へ集まります、そこで魂の浄化を待ち、前世の記憶消去を終えた後、次の身体へ魂が真っ白な状態で生まれ変わります」 「魂の浄化?難しい話だな、人は必ず人間に生まれ変わるのか?」 「いえ、生前の行いなどで人間以外にも転生します、穢れた魂は、魂自体が昇華するまで何度も虫や動物に生まれ変わり、意思を持てず一生を終えることもあります、逆に徳を積んだ綺麗な魂の人ならば人以上の存在に転生することもあります」 「人間以上?」 「いわゆる神のような存在や地上では認識されていない身体を持たない存在に昇華します」 「身体を持たない?」 「人間も身体という器に魂を縛られた状態なので、神様や他の高位な存在に比べたら位は低いんです、下界で限られた生を与えられその間の生き方で魂の穢れ度合いが決まって次の生まれ変わりに影響するんです」     

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