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第172話
「魂の穢れってどうやって判別するんだ?」
「魂が身体を離れると魂を覆い隠すものがなくなって考えていることや生前の行いが丸見えの状態になるんです、だから天界ではズルい考えや嘘はつけません、生前の業がそのまま平等に次の転生の秤となるんです」
「なるほどな、」
「稀に魂の記憶が消えきれず前世の記憶を持って生まれる方もいらっしゃいますが、幼児期には薄れ消えて行くように魂は出来ています、その人生を生きる上で前世の記憶は邪魔になりますから」
「なんで前世の記憶を覚えているんだ?」
「前世で幼くして亡くなった魂や病などで人生を謳歌出来なかった魂は、もう一度人生をおくるためにいち早く浄化が成され生まれ変わります、急いだため前世の記憶が消え切れていない場合があるみたいですね」
「早死にすると早く生まれ変わるのか…」
「いえ、一概にそうとはいえませんが、早く生まれ変わる魂が多く、現世でやり残したことがある魂や、事故や悪しき病、殺人などで幼く、経験浅く亡くなってしまった魂は、より早く転生がなされるようですね、愛情を受けた魂ならば、同じ家族の元に転生することもあるようです」
「なるほどな」
「逆に、うちの両親のように亡くなってからもなかなか転生したがらない魂もありますが…」
「お前のご両親は、あの部屋からは出れないのか?」
「はい、身体を持たぬままの魂では不安定なので、結界術でお位牌に繋いで流されないようにしているんです、浮遊霊となれば悪しき空気でいずれは悪霊へと変わってしまうので…」
「悪霊…」
「様々な理由で還ることが出来ない魂は幽霊となり浮遊または地に縛られ苦しんでいます」
「ゆたかのように…」
「はい、その他にも、自ら望んで還らない魂もあります、大切な誰かを純粋に護りたいと強い想いを残して死んでしまった場合、その人の守護霊としてその人と繋がり、その方の生を悪しきものから護っている霊もいます」
「守護霊、聞いたことはあるな」
「主に血縁の方や、縁の深い方などが見守ってくださることが多いですね」
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