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《悩みの種》

射精が出来ない… 大人になれない… そう泣く東洞に、何もしてやれなかった。 トラウマ… 過去に、複数の男に性的いじめを受けた影響で、精神的に性的事象を拒絶してしまっているように見えた。 東洞のために、俺が力になってやりたいと思ったが… この手のことは、正直どうしてやればいいのか分からない… 射精は怖くないってことを教えるしかないんだろうが… そこまで俺が関わるべきことなのか… けれど、東洞は本気で悩んでいるんだろうし… どうしたものか… 今日も会社の入り口で待っている東洞。 「おはようございます国近さん、昨日は恥ずかしいところを見せてしまってすみません」 「いや、大丈夫か?」 「はい、大丈夫です」 「…なら、今日も仕事頑張ろう」 「はい」 大丈夫とは言うものの、やはりいつもより元気のない東洞。 やはり出来なかったことが堪えているのか… いつもの笑顔が見えないと心配になる。 だが、そのことに関しては何も言えず日にちだけが過ぎていく。

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