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第176話

部屋に着くと、8畳ほどの広さの和室部屋にベッドと机、衣装棚、それに本棚がずらり並ぶシンプルな部屋だ。 すぐ本を取り出し… 妖怪図鑑…というか古めかしい墨で描かれたかなり値打ちもののような図鑑を机に出して夢中で説明してくれる東洞。 幼い頃からこんなふうに妖怪について、学んで来たんだろう。 本棚も霊能力に関係するものが多い… ん? 本棚の一画に並んでいる本… 【大人になるためには】 【大人とは】【大人らしくある為に】 大人に関しての本が沢山ある。 「東洞…あの本は?【大人になるためには】?」 「あ…あれは、僕…子どもっぽく見られることが多いから、少しでも大人になれるようにって沢山読んだんですけど…」 少し恥ずかしがりながら答える。 「でも、どうしても出来なくて…」 「ん?」 「あの本には、大人の男は自然と射精が出来るようになるって書いてあって…本の通りに試すんですけど…やっぱり出来なくて…」 「それでこの間、大人になれないって泣いてたのか…」 「恥ずかしいです…僕はやっぱりちゃんとした大人にはなれないんです…悔しいけど、仕方ないです」 「東洞、そんなことないって…今無理に射精しなくてもその時が来たらお前にも出来るから…」 「……」 「確証が欲しいのか?」 「出来ないままじゃ…やっぱり不安です」 「そうか…なら俺が手を貸してやろうか?」 「えっ…?」 「お前が…望むなら、お前もちゃんと大人だという証拠、見せてやるよ」

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