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第196話
「ダメだ、迎えに行く、お前の身体を狙ってる妖魔は山程いるんだ、気をつけろよ」
「分かってます」
優志に居場所を伝え、電話を切る。
「……、」
また優志さんに迷惑をかけてしまった。
山岸さんとも上手くやらないといけないし…
国近さんは冷たくなって…寂しいし。
色々、難しい。
色々考えて、頭が混乱して疲れてしまう東洞だった。
翌日も仕事を休まないよう、頑張って出勤する。
「おー、きたな、昨日は悪かったよ」
「山岸さん、おはようございます、昨日はすみませんでした」
謝る東洞に近づいてきて…
「いや、尊くんには刺激が強すぎたよな」
ポソっと耳打ちし…
「……」
「ま、気にしない気にしない、仕事頑張ろーぜ」
そう肩に腕をかけて笑う山岸。
「はい…」
山岸さん、苦手な相手だけど、うまく付き合わないと…立派になって成長を国近さんに見せれば、きっと褒めてくれる筈だから…
終業後、誘いをかけてくる山岸をなんとか交わしながら、日々が過ぎていき、明日で国近の出張が終わる。
出張中は迷惑にならないように電話も我慢して、戻って来るのを心待ちにしていた。
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