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第201話
「尊は、力がある、霊能力者だ、あいつしか、もう頼るところがない…俺は、家族を助けたいんだ…っ」
涙を流しながら俯く柚木。
「それに、俺は尊に謝りたい、虐めの現場、あの時から俺の想いは止まったままだから、尊に謝って、止まった時を動かしたい…」
「どうか、尊と…、尊と連絡を取って欲しい、お願いします」
そう縋るように懇願する。
「……、」
参ったな、今でもトラウマで苦しんでいる東洞の、トラウマの原因とも言える人物が東洞を探している。
かなり切迫した様子で、助けを求めているが…
東洞からしたら、助けてやる義理もないわけで…けれど、俺が話を持って行けば、あいつは無視できないだろう、危険に巻き込んでしまうかもしれない…
優志だって許さないだろう。
霊能力者なら東洞じゃなくても…あの陰陽師の先生に頼んでみたらどうだろう…
しかしどのくらいの依頼料がいるのか検討もつかないが…
「東洞じゃないとだめなのか?陰陽師も知っているんだ、おそらく依頼料はいるだろう、どのくらいの金なら出せそうだ?」
「…もう、うちに金はない…医療費と生活のため借金を重ねて…それを払っていくのにギリギリなんだ…そのうち、俺まで働けなくなったら、もう、野垂れ死ぬしか…」
「そう、言われても…参ったな」
「お願いします、尊に…」
「分かった、考えてみるから、連絡先を交換しよう」
「はい、お願いします!」
柚木航平の話を聞いて、重い気持ちで家を後にする。
東洞に、話すべきなのか?
しかし、頼まれているからうやむやにはできない、一家の運命を握っているかも知れないんだから…
東洞に直接話すのは少し様子見て、優志に相談してみるか…
しかし、優志は柚木を憎んでいる、近づけないような術をかけたのも優志、この話をしたら絶対に拒否するだろうし、怒りに狂うだろう。
だから、柚木の名前を出さず、さりげなく聞いてみるか…。
気が重い中、自宅へと帰っていくのだった。
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