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第208話
この複雑な感情を、言葉に表すのは難しい…
ただ、近くにいたい、触れたい、でも国近さんには大切なひとが他にいて、もう僕から離れていこうとしてて…
それを感じると…つらくて苦しい…
「え?」
「僕の、問題なので、大丈夫です」
「……」
「仕事します」
涙をぬぐい拭い無理やり言葉を出す。
「東洞…」
東洞の様子は気になったが、何も言えず様子を見守るしかなかった。
仕事を終え、その足で向かったのは居酒屋。
「待たせたな」
席に着き、声をかける。
「いや、話ってなんだよ」
「まあ、まず呑めよ優志」
呑みに誘ったのは、東洞尊の結界師、天河守優志。
柚木の件を、遠回しに聞くためだ。
「あぁ、」
「お疲れ、東洞はだいぶ仕事に慣れてきたようだ」
「……」
東洞が仕事をする事を納得できていないのか、この話題には不機嫌な優志。
「今、東洞は毎日仕事に来てるが、本職のシゴトの方はどのくらいしているんだ?」
「今は、単独で来た依頼はすべて断わっている、倉橋先生からの依頼は受けているが、月に一度ていどだ」
「そうか、東洞が除霊なんかをする時はどのくらい、その、危険が伴うものなんだ?」
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