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第210話

「……、霊能者にもよるが安くはない、うちだと霊視だけで、五万、除霊をするとなればさらに契約で三十万はもらう、さらに使用した能力に応じて金額は加算していく最低百万はいるだろう」 「そんなに?」 「当たり前だ、こっちは一歩間違えば命を落とすんだからな、これでも安いくらいなんだ」 「まあ、そうか、そうだな…」 確かに優志の言い分も間違っていない、東洞が妖魔を身体にかからせた時は、かなり消耗していたし、命がけの仕事なら… しかし、今の柚木に支払える額ではないか… だからと言って東洞にタダ働きはさせられないし… 「何なんだ?」 「いや、まあそいつが霊現象のせいで金があまりなくてな、どうしてやろうかと…」 「金がないなら話にならない、祟り殺されるならそいつの業だ」 「業か…」 「霊媒体質の人間や怨みをかった人間以外で、霊に取り憑かれるのは、心にやましい事を持っているからだ、邪な心は悪霊や妖魔を呼び寄せる、それで死ぬならそいつの自業自得だ」 「そうか…」 自業自得だとしても、苦しんでいることを知ってしまったからには、無視することは出来ないが… 「それにこの生業は半分以上が偽物だ、騙されないよう気をつけろよ」 「そうなのか…分かった、話を聞いてくれてありがとう、まあ、今日は飲もう、お前も苦労はあるだろう、話なら聞いてやるから」 「別に、お前に聞いてもらわなくても…」 「まあ、飲め飲め」     

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