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第212話

「無理だな、確かにお前のオーラはすごい様だが、浮遊霊ていどなら浄化の力があるかも知れないが、それだけしか能がない、妖魔との戦いになれば、せいぜい尊の壁になって穢れを払うくらいしか役に立たないだろう」 「…壁になる、壁になっていれば東洞は安全なのか?」 「お前が命をかけて守れば妖魔は近づけないかも知れないが、守るだけじゃ妖魔は倒せないだろ」 「そうか…難しいな」 俺だけでは霊とは戦えないか…。 「間違ってもお前ひとりで霊に立ち向かおうとするなよ?無知識でいけば死ぬぞ」 優志は心を読んだかのごとく静止する。 「…あぁ、分かってる。なら手を貸してくれないか?」 「…無理だ、俺の力は尊を守るための力だ、他に使うことはない」 「そうか、そうだな…、分かった。色々聞いてすまなかったな、今日はとことん飲もう」 今日はこれ以上は頼まず、親睦を深める方を優先させることにした。 そうして、その日は優志と酒を酌み交わし、少しは気が打ち解けたようだ。 霊の話は… 柚木には到底、霊能力者を呼べるだけの財力はない… 優志は力を貸してくれそうにはないし… 適当なところに頼めば騙されることもあるだろうから… どうしたものか…

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