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第213話
翌日もいつものように出勤する。
酒には強い体質のため、二日酔いにはなったことがない。
「あ、おはようございます国近さん」
いつものように会社の前で待つ東洞。
「あぁ、おはよう」
いつも通り挨拶して会社に入る。
それを追って隣を歩いてくる。その様子がなんだかシッポを振って懐いてくる子犬のようで可愛く見える。
「国近さん、仕事頑張りましょうね!」
「あぁ、やる気あるな、頑張れよ」
柚木を助けてやれるのは、コイツの力と優志の力が必要、か…
どうするか、柚木も切迫していたし、そんなに待たす訳にもいかない、
陰陽師に頼みに行くか?しかし依頼を受けてもらえるかも分からないし、そんなに時間をかけられない、柚木と東洞のわだかまりを取るには、東洞に話すしかないだろうか…
参ったな。
そう悩みながら1日を過ごした。
そうして本日の業務時間も終了となる。
「東洞、終わりそうか?」
「はい、あと少しで」
「なら今日も最後までして帰るか…」
本当は残業はさせたくなかったが、本人はやる気になっているから…
「はい!」
その言葉に笑顔になる。国近と少しでも長く一緒にいたいから…
今日は残業をする社員はおらず、国近と東洞二人だけが会社に居残りだ。
作業をしながら、ぽつりと聞く東洞。
「国近さん、何か悩んでます?」
「え?あ、あぁ…まあな」
「オーラが昨日より暗めだから」
「お前にはなんでも分かるんだな」
「どうしたんですか?僕に手伝えることなら手伝いますよ?」
「…、あぁ、ありがとう、気持ちだけで充分だ」
まだ話すかどうか決断できていないから…言葉を濁すが…
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