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《二人の関係》
次の日、やはり会社前で待っている東洞。
姿を見つけると、相変わらずにこにこしている。
昨日あんなことがあったというのに、まったく堪えていなさそうなところには感服する。
「おはようございます、国近さん」
「あぁ、おはよう…冷静になって考えたか?」
「はい、冷静になって考えても、国近さんを好きだという気持ちは変わりません」
「……参ったな、とりあえずその話も含め、仕事がすんだらお前の家に寄るから」
「本当ですか!?」
花が咲いたように喜ぶ東洞。
「ただ、残業が多かったらこの話は無しだからな」
一応釘を刺し、気を引き締めさせる。
「はい!頑張ります!」
そうして、驚くような集中力を見せて、業務終了前に仕事を終わらせた東洞…
「すごいな、普段からこの集中力を見せてくれたらいいんだが…」
「が、頑張ります」
「なら約束通り、家に寄るから」
「やった!一緒に帰りましょう!」
「こら、大声を出すなよ」
「すみません」
それでも嬉しそうな東洞。
普段はタクシー通勤な東洞だが、今日は俺が送っていくことにする。
助手席に座ってまだ嬉しそうにしている。
そんな風にされると、勘違いだとしても嬉しい気分になってしまう。
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