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第218話
たわいない会話をしながら東洞宅へ、豪勢な門構えを跨ぎ、屋敷にはいる。
とりあえず、台所で夕食を作ってやりながら、どの話から話そうか迷っていると…
「国近さんが出張に行って帰ってこなくて、凄く寂しかったんですよ」
そばに寄ってきてそう囁く。
「ん?」
「でも、良かった、帰ってきて」
「まあ、よく頑張ってたよな」
素直な東洞を見ると、やはり可愛く思えて褒めてやる。
「ありがとうございます」
にこっと嬉しそうに微笑む。
「お前はこの仕事を続けていく気持ちはあるんだよな」
その笑顔から逃げながら違う質問を投げる。
「もちろんです、やっと面接に合格して入れたんですから、しかも国近さんがいるし」
「本業との兼ね合いは大丈夫なのか?」
「はい、今はほとんど依頼を受けていないので大丈夫です」
「そうか」
依頼は断っているんだよな、俺からの依頼もそれでいくと断ることになるのか…
ふと考えてしまう。
「国近さん?」
「さ、食事しよう、話はあとからだ」
とりあえず、食事の支度ができたから、食事をしながら話してみることにする。
「はい、ありがとうございます」
テーブルにつき、相変わらず美味そうに食べてくれる東洞を微笑ましく見る。
「東洞、もし俺が本業の方の仕事の依頼をしたら受けてくれるか?」
和んだ雰囲気のまま、本題につながる質問を投げかけてみる。
「もちろんです、あ、でも優志さんに言うと凄いお金取られますよ」
「だろうな、優志はお前を使わせたくないみたいだからな」
「過保護すぎます」
少し苦い顔をする東洞。
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