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第231話
そうして戻って来た優志にも話を聞いてもらうために、席に着かせる。
「優志、東洞の守人のお前に頼みがある」
「何だよ、」
「この前話した霊視の件、東洞と一緒に来てくれないだろうか」
「は?無理だと言っただろ、尊は力を貸さない」
「見てもらうだけでいいんだ、これが霊現象によるものなのか、そうでないのか」
霊現象なら改めて陰陽師に依頼してみようと考えて…。
しかし優志は…
「ダメだ」
「優志さん、」
「ダメだ!」
「霊視だけだから、僕は国近さんに助けてもらったんですよ?」
「お前だって国近を助けただろう、充分だ、あんな無茶をして…」
「優志、俺はお前の大切な東洞を傷つけるつもりは毛頭ない、ただ困っているやつの力になりたいだけだ、遠目からでもいい、あの家に起きている惨事を霊視して欲しいんだ」
「ダメだ、尊は知ってしまえば関わりに行ってしまう、」
「お前が許す範囲でいいから、お前の指示に従う、東洞の安全のためにお前に付いて来て欲しいんだ」
「…尊は?俺の言う事が聞けるか?」
「……聞きます、優志さん、国近さんは黙って行かずにあえて優志さんに話をしてから行く事を選んだんです、反対されることを分かっていて、それでも優志さんの同行があった方がいいと冷静に考えて話しているんです」
「……」
「頼むよ、優志、お前が来てくれなければ俺が一人で行くしかなくなる」
「はぁ、…危険なことは絶対させないからな」
そうなれば、尊も付いていくかも知れない…
尊の安全を考えれば…
「あぁ、ありがとう優志」
「優志さんありがとう!」
「ったく、面倒なことを」
そうぼやきながらも協力はしてくれるようだ。
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