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第238話
「…くに、ちかさん?」
温かいオーラに包まれる。
顔を上げた東洞が不安そうに見つめてくる。
「…どうしたらいいんだろうな」
そっと瞳から零れたしずくを拭ってやりながら、前髪を優しく撫でる。
「国近さん」
「俺は、意気地が無いな、お前の真っ直ぐな想いから逃げようとばかりして…」
「ううん、国近さんは優しいから」
僕のこと、優志さんとの関係のこと考えてくれてる。
「でも、僕の好きな人は国近さんだから、ずっと好きでいます、それは変わりません」
「……」
やはり、
「あんなことまでしておいて、責任取らない訳にはいかないよな」
たとえオーラ目当てだろうと、途中で飽きられてしまおうと…
その想いに応えないのは卑怯だから。
それに、自分の気持ちに嘘をつくのも疲れた。
「え?」
「東洞、尊」
「……」
名前で呼ばれ驚いたように目を丸くする。
「俺と付き合うか?」
本当はとうに気持ちは固まっていた。
ただ、本当の気持ちを確かめるため、聞かなければならないことだったから。
「えっ」
「恋人同士になるか?」
「…はい!はいっなります!嬉しいっ国近さん!」
その目は更に驚きへと変わり…
嬉しさのあまりぎゅっと抱きついてくる。
「たける、」
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