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第245話

その部屋の戸を開ける。 ボサボサのやつれた女が這いつくばって叫んでいる。 「…取り憑かれて居るのはヤツか?」 「恐らくな」 「そこにいろ、動くな!」 符を構え、そう指示をする。 「あぁ」 「諸々の罪穢れ…彷徨える魂よ一つとなりて此れ征す…封印結界術、術式参…縛呪結界ッ発!!」 「やめろぉぉお!」 母親は叫び狂うが… 妖魔が取り憑いている母親ごと結界に閉じ込める。 「これでひとまずは尊に危害は加えられないはずだ」 「東洞を呼ぶか?」 「あぁ、だが浮遊霊もいる筈だ、より慎重に。霊を刺激したから凶暴化している可能性もあるから」 「あぁ、」 優志に返事をし、走ってアパートの戸を開けて呼ぶ。 「東洞、来れるか?」 「……」 しかしそこには尊の姿はなかった。 「東洞?…優志、東洞がいない!」 「何ッ?しまった、外にもいたかッ」 優志も慌てて外に飛び出す。 「東洞ッ!何処だ!」 焦る俺を制して優志は… 「チッ、そんなに遠くには行けないはずだ、静かにしろ探す」 「……」 『探知結界…今一度、その範囲を拡大させ…我と繋がりし、心の臓に宿る結界を持つ者、東洞尊、彼の者の居場所を示せ…』 人差し指と中指に符を挟み天へ向け額のあたりへかざしながら… 広範囲結界を張り、その検索範囲を拡げ、神経を研ぎ澄ませ、尊を探す優志。     

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