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第247話

「優志…」 「解印」 捕まえておいた結界を簡単に解く。 母親は這いながら尊の元へ… 「この子おいしそう」 「そうだね、母さん、あとからゆっくり…」 2人は近づいて尊に触れ囁きあっている。 その様子を奥歯を噛みながら怒りを抑える。 「どうする優志」 その隙に、小声で窺う。 「俺が囮になる、奴らの意識が尊からそれたら、迷わず尊を救い出して逃げてくれ、」 優志も小声で指示してくる、続けて… 「車まで行けば、車には強力な結界が張ってあるから」 そう車の鍵を渡してくる。 「わかった、大丈夫か?優志」 囮になるなんか相当危険だ。 「逃げ切れたらすぐに陰陽師の倉橋先生に連絡してくれ、俺はなんとかする」 「わかった、気をつけろよ」 会話を終え、優志は妖魔に語りかける。 「おい、お前らは何者だ!」 「何者?分からないのか?案外無能な結界師だな」 「何が目的だ」 「そうだなぁ、こいつの身体は乗っ取りがいがありそうだ」 「ッ、そいつには結界が張ってある、そのままじゃ乗っ取ることはできない」 「そうだな、じゃ、解いてくれよ結界を」 「嫌だ」 「じゃ、殺すか」 「待て、解くには符を使わなければ無理だ」 冷静に妖魔とやりとりをしている優志。 尊を奪い返す隙を狙う。     

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