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第248話
「なんでもいい、さっさとやれ!」
苛立つ女。
「…発ッ!」
優志は結界を解く振りを見せ、符を構え、次の瞬間、5枚の札に念を込めて女に向かって投げ放つ。
鋭利に尖った札は包丁を持つ腕を撃ち、手から包丁が床へと弾け落ちる。
「うァァ貴様!!」
「今だッ!」
さらに優志は母親へも符を構えて攻撃を始める。
「やめろぉぉ!!」
女は怒り狂ったように叫び、尊から片手を離し、優志を睨みつける。
すると床に落ちた筈の包丁が宙に浮き、優志の方へと切っ先を向ける。
「優志危ない!」
間髪いれず女が手を振り下ろすと…
その包丁が優志の方に向かい物凄いスピードで飛んでいくのが見えた。
「尊を!!」
「ッ、くそっ」
しかし優志に促され、尊の救出を優先させる。
そのまま走り込み、女にタックルを仕掛けて、倒れ込んだ隙に、尊を抱き上げる。
「優志!!」
優志をみると、符をもっていた右手の手のひらに直角に包丁が突き刺さっていて、血が滴っていた。
「っ、行け!!」
「しかし、」
「尊の安全が一番だ!!行け!!」
「ッすぐ戻る!」
そのまま車まで全力疾走する。
優志の時間稼ぎもあってなんとか逃げることが出来た。
車の後部座席に逃げ込んで、呼吸を整えつつ、尊の様子をみる。
「ハァ、ハァ…尊!?…気を失っているだけか、優志は…」
見た感じ怪我もしていないようで、すやすや眠っている尊に安心しつつ、優志のことを心配する。
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