247 / 300

第248話

「なんでもいい、さっさとやれ!」 苛立つ女。 「…発ッ!」 優志は結界を解く振りを見せ、符を構え、次の瞬間、5枚の札に念を込めて女に向かって投げ放つ。 鋭利に尖った札は包丁を持つ腕を撃ち、手から包丁が床へと弾け落ちる。 「うァァ貴様!!」 「今だッ!」 さらに優志は母親へも符を構えて攻撃を始める。 「やめろぉぉ!!」 女は怒り狂ったように叫び、尊から片手を離し、優志を睨みつける。 すると床に落ちた筈の包丁が宙に浮き、優志の方へと切っ先を向ける。 「優志危ない!」 間髪いれず女が手を振り下ろすと… その包丁が優志の方に向かい物凄いスピードで飛んでいくのが見えた。 「尊を!!」 「ッ、くそっ」 しかし優志に促され、尊の救出を優先させる。 そのまま走り込み、女にタックルを仕掛けて、倒れ込んだ隙に、尊を抱き上げる。 「優志!!」 優志をみると、符をもっていた右手の手のひらに直角に包丁が突き刺さっていて、血が滴っていた。 「っ、行け!!」 「しかし、」 「尊の安全が一番だ!!行け!!」 「ッすぐ戻る!」 そのまま車まで全力疾走する。 優志の時間稼ぎもあってなんとか逃げることが出来た。 車の後部座席に逃げ込んで、呼吸を整えつつ、尊の様子をみる。 「ハァ、ハァ…尊!?…気を失っているだけか、優志は…」 見た感じ怪我もしていないようで、すやすや眠っている尊に安心しつつ、優志のことを心配する。     

ともだちにシェアしよう!