248 / 300

第249話

『倉橋先生に連絡』 優志の言葉を思い出し… 「とりあえず連絡してから、優志を助けに行かないと」 手からかなり出血していたし、早く助け出さなければ… 急いで倉橋先生に電話かける。 電話に出たのは倉橋ではなかった。 「すみません、以前、東洞尊の繋がりでお会いした国近ですが、ご当主に代わっていただけないでしょうか、かなり切迫した自体が起きていて…」 とにかく急いで倉橋先生に取り次いでもらう。 『少々お待ちください』 「すみません」 『はい、国近さんですね?どうされましたか?』 優しい声色の倉橋、国近が電話をかけてくるのは緊急時だと理解して伺ってくる。 「先生ッ優志が、優志が悪霊に囚われて」 『どういうことですか?』 一連の顛末を藁にもすがる思いで伝える。 『分かりました、その場所でしたら二時間ほどで向かえます、危険ですから車から出ず私どもが到着するまで待っていてください』 「でも、」 優志が奴らに… 一刻も早く助けに行きたかったが… 『単独で行けば妖魔の思う壺です、優志くんは必ず助けますから、堪えてください。尊くんが目覚めて、暴走しそうになったら止めて下さい、よろしくおねがいします』 そう柔らかな口調のまま、冷静になるよう伝えられる。 「はい」 そして通話が切れる。 「……」 包丁を持った女に脅され、包丁が宙に浮いて…優志に… 信じられない光景を目の当たりにして、今更ながら震えがくる。 優志が一人であそこにいるのに何もできない。 もどかしい気持ちを封じ込めながら、尊の肩を抱き寄せ、車の中で時が過ぎるのを待った。

ともだちにシェアしよう!