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第252話

「頼むよ、じゃなきゃ、俺が優志さん殺しちゃうかも」 柚木は優志ににじり寄りながら、包丁を振り上げ、優志の腕にザクッと突き立てる。 「クッ、…離せ柚木ッ尊に会ってどうする気だ」 痛みを堪えながら柚木へ問いかける。 「…あんなことをして、尊に謝りたい…それで、もっともっと楽に稼げる方法を教えてやるんだ」 「ッ、」 妖魔に取り憑かれているため、柚木の記憶と混同しているのか… 憑依中はマイナス面が強調されるから。 「俺ならもっと上手い使い方ができる…」 一度包丁を抜き去り、その血のついた刃を舌で舐めあげながら、さらに狂ったように話し続ける。 「尊を使って…はは、ははははっ!」 正気じゃない。長期間憑依されているのは確かだ…柚木と妖魔の思考が完全に混同している。 説得はもはや無理…。 「ッくそ、」 ジリジリと壁際に追い詰められる優志。 「ほら、早く解けよ、」 「誰が!!」 「なら東洞尊がどうなってもいいのか?」 「何ッ」 「わざわざ逃がしてやったんだ、何も仕掛けてないと思ったのか?」 「何をした、」 「さあな、俺の呪詛を解いたら自由にしてやる、時間がないぞ」 包丁を煌めかせながら急かすように脅す。 「ッ、くそッ」 なんとか時間を稼いで、倉橋先生の到着を待つしか手がない優志だった。     

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