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《優志救出へ》
東洞尊が目覚めて1時間強、優志の車の横にワンボックスカーが横付けしてくる。
そうして、三人ほどが出てきて外にいた警官を符で除霊しながら近づいてくる。
「あ、倉橋先生」
その真ん中にいる人物、和装袴姿の男性が、陰陽師の倉橋だ。
「こんにちは、緊急事態とのことで急ぎ来ました、優志くんはあちらですね、とりあえずお二人もこちらの車に乗ってください」
外から話しかけてくる。
「倉橋先生、優志さんが!」
顔を見るなり優志のことを伝える。
「はい、助けましょう、妖魔を見ましたか?」
「意識のある状態で、中まで入れなかったので、何がいるのかまではわかりませんでした」
「大丈夫です、来しなに霊視してみました、おそらくあの家に土蜘蛛《つちぐも》が巣食っているようです」
「土蜘蛛」
「古来より頻繁に発生する妖怪の一つですね、特徴は本体である土蜘蛛は家から出られないかわりに、手足となる悪霊を使い、遠くから獲物を呼び寄せ生を喰らう妖怪です」
「あの家の住人も負のエネルギーで操っていることは確かですね、」
「中にいたのは這いつくばって奇声をあげていた母親と、おそらくその娘、あと息子がいるはず」
何か力になりたくて、部屋の中の様子と家族構成を伝える。
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