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第256話
「おそらくその母親が土蜘蛛の宿主になっているのでしょう」
確信したようにはっきり伝えてくる倉橋。
「近しい者は皆、土蜘蛛の手足となり操られている筈、本体を叩くにはそれなりの準備もいります」
「優志さんを…」
急かすように呼ぶ尊。
「はい、なので優志くんの救出を最優先に、作戦を考えます」
「俺の、俺の能力も何か役にたてば協力します、元はと言えば俺が、優志や尊を危険な目に遭わせてしまった原因だから」
何もせずにはいられない。
「そんなことないですよ」
俺の言葉を尊はやんわり否定する。
「国近さんは、常に尊くんのそばにいてください、付け焼き刃ですがこちら側の地を有利にする為に、国近さんのオーラを増幅させ体外に放出させる訓練を30分ほど行います、尊くんはその間に正装に着替えて、降霊術の準備をお願いします」
「はい、」
「はい…」
「大丈夫です、必ず助けだしましょう」
不安そうな二人に優しく声をかける倉橋。
そうして、陰陽師達の車の中で、オーラを放出する訓練を受けることになった。
「国近さんはその場であぐらをかいて座り、両手を前で合わせて、目を閉じます。手のひらの真ん中に意識を集中させてください」
「はい、」
言われた通り、目を閉じて意識を集中する。
「そうです、そこにオーラを集中させる感覚です」
「……」
目を閉じて意識を集中させる。
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