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第260話
優志は倉橋の姿を捉えると、短く謝る。
「ッすみません、倉橋先生」
倉橋は先陣切って浮遊霊を倒しながら突き進み、優志を確認すると短く頷く。
「近づくな!!こいつが死んでもいいのか!?」
女は優志を羽交い締めにし、盾にするようにこちらを威嚇する。
「……」
俺はすぐさま言われた通り、
指定された場所にあぐらをかいて、両手を合わせ神経を集中する。
そして手を床に当てオーラを手から放出し…部屋全体を浄化する。
その間、陰陽師達は俺と尊を庇うように立ち、符を放ったりして見えない何かと戦っている。
倉橋は優志の代わりに尊へ簡易結界を施した。
陰陽師たちは紺の袴姿、尊も水色の袴姿に髪を下ろした霊媒師スタイル。俺だけが私服のジーンズ姿で浮いてしまっているが…
尊は袴姿で正座して、笹のような葉に鈴のついたものを目の前で二度振り、鈴の音を響かせる。
「お願いします!解、印」
倉橋先生に目配せして、両の手で印を結び、身体の結界を解除する。
「やれッ先に霊媒師の身体に入れ!!」
その瞬間、女が浮遊霊を操って、尊に取り憑かせようとしているが、倉橋と陰陽師たちが悉く防いでいる。
「…ッ汝が守護するもの…くッ!」
捕らえられている優志も息を切らしながらでも尊に結界を貼ろうとしているが…
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