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第265話

ありったけのオーラを注ぎ込んで祈るように浄化を続ける。 (たけるッ嘘だろ…大丈夫って言ったじゃないか…目を開けてくれ!!) 「尊っ、尊!戻ってこいッ尊っ!」 自らの胸に刻まれた尊と繋がる結界を掴みながら、泣きそうな優志の声が部屋中に響く。 緊急処置を始めて、数分が経った頃、不意に尊がむせ込んだ。 「けほっけほっ!」 「尊っ、ッ良かったッ!」 それは自ら心臓が動き出し、呼吸をはじめた証拠だった。 「ハァ、危なかったですね、まさか天照大神《あまてらすおおみかみ》が降りてくるなんて…」 倉橋もホッと息をつき、身なりを整え少し離れて話し始める。 「何でそんな事が…」 「取り敢えず天照大神の出現で、土蜘蛛は滅することができましたね、この部屋の浮遊霊も、娘さんに取り憑いていた霊も全て消えました」 「……」 尊を抱き寄せ、息を吹き返しても意識が回復しないと安心出来ず、オーラでの浄化を続ける。一瞬でも心臓が止まっていたかと思うと、今は一言も言葉が出ない。 「尊くんもよく頑張りました、大神をかからせて命を落とさないなんて、やはり尊くんの霊媒能力は未知数ですね」 「ただ一匹逃げて…」 この場にいないのは柚木。

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