265 / 300

第266話

「そうですね、しかしこの地に天照が降りたった為、この一帯はかなり浄化されている筈、もしかしたら近くで倒れているかもしれません、少し調査を」      倉橋は助手に周辺の調査を頼み、倒れている母親と娘の様子を見に行く。 「優志、大丈夫か?」 右腕を負傷している優志を心配して声をかけるが… 「ッ貴様!」 ガッと左手で胸ぐらを掴んでくる。 「ッすまなかった」 尊や優志を危険な目に合わせた俺に怒りをぶつけるのは当然だ。 「優志、今は…」 それを倉橋が止める。 「ッ…はい」 優志は怒りを抑えて、尊の左手の手当てを行い、降霊に使った神具を片付けた。 倉橋も娘の怪我の手当てを終え、近づいてくる。 「ひとまず車に戻りましょう、国近さん、尊くんを運べますか?」 「はい、」 頷いて尊を抱き上げ、一団はアパートを出る。

ともだちにシェアしよう!