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《カウントダウン》
自分で歩けるまで回復した尊に朝を食べさせて…また布団で休ませる。
日曜日だが、優志の様子をみに、入院している病院へと足を向ける。
「優志、」
病室を覗くと、ベッドに座っている優志、右腕から指先まで治療され、包帯が巻いてある。
「国近…」
俺を見て顔をしかめる。
「大丈夫か?」
「俺はいい、尊は?」
フイと顔を背ける。
「あぁ、体調も回復したし、朝飯もよく食べた、本人は大丈夫だと言っているが…」
「……」
「…すまない、今回のこと、優志に怪我をさせて、東洞を危険な目にあわせてしまった」
「ふざけるなよ!なぜ柚木の家だということを言わなかった!?」
「すまない、言えば協力が得られないと思ったから」
「…お前は、信じかけていたのに」
憎しみというよりは哀しみに近い優志の表情。
「本当にすまなかった。俺は、…俺のしたことは許されることじゃない、」
そんな意図はなかったが、結果的に優志に酷い怪我をさせ、尊は命の危機に追いやってしまった。
「あぁ、絶対に許されない……お前にも禁術をかける、尊に二度と近づけないようにして尊は仕事を辞めさせる」
禁術…人払いの法。
尊の過去を聞いた日、尊に何かあればそうすると言われていた。
「………そうされても、仕方ないが」
「なんだよ!」
言い澱む姿にイラつく優志。
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