277 / 300
第278話
それでも目の前の楽しそうな尊の姿を見ると、そんなことは忘れてしまえそうになるくらい、幸せを分けてもらえる。
「今日も泊まっていかれますよね?」
「いや、明日仕事だし、準備もあるから夜には帰るよ」
本当はギリギリまで一緒にいたいが、自分の気持ちを整理するためにも離れなければならない。
「そうですか…あ、でもお風呂は入っていってくださいね!せっかくですから」
「あぁ、ありがとう」
「いえいえ、ご飯のお礼です、とっても美味しかったです」
「それは良かった」
「また作ってくださいね」
「……あぁ、この家に来られたらな」
人払いの法をかければ…
尊がいる間は家に入れなくなる筈だから…
「?またいつでも来て下さい!」
「あぁ…」
やはり、禁術のこと、伝えたら尊は怒るだろうな…
まさか俺と会えなくなるとは思わないだろうから、けど、こんな関係はやはり長引かせてはいけないんだ。
尊が求めているのは、俺のオーラ…
それを利用して、こんなオヤジが、尊の身体を弄んでいると、そう言われても仕方ないんだから。
終わらせるべきなんだ。
食後、帰る支度をしていると尊が声をかけてきた。
「お風呂一緒に入りましょ!」
「ん?あぁ、禊は?」
「しなくても良さそうだけど」
「まぁ一応しとけ、習慣だから」
「はーい、行ってきます」
そう促して、禊場へ行く尊を見送り、浴室へ向かい、先に身体を流して、湯につかる。
ともだちにシェアしよう!