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第291話
お前は俺がいなくても、もう一人前だ、だから仕事頑張れよ。俺がいたら、俺に頼ってそれ以上成長しないからな。
自信を持って、お前が生きたいように生きろ、最後に、ゆたかの件は、本当にありがとうな。
尊、愛しているよ。
国近啓介。
「ッ、国近さん…!?」
会社を辞めてお別れ?なんで?意味がわからない、昨日、全然普通で…
でも違和感は少しあった…
『元気でな』
あれって、今日でお別れだから?
そんな、嘘だ、なんで、わからない、国近さん、分からないよ…
「なんで…」
僕は別れたくないし、勝手に、一方的にお別れなんて、そんなの許さない。
愛してるなら、なんでお別れ?
分からないよ…
全然、分からない。
急にいなくなるなんて、酷すぎる。
信じない、そんなの、信じないから僕は!!
そこへ、社長が様子を見に来る。
「国近くんは来てないか、…あ、東洞くんその髪…」
白髪の尊に驚いている社長に掴みかかる勢いで聞いてしまう。
「社長!!あの、国近さんが辞めたって本当ですか!?」
「あ、あぁ、昨日辞表を出しにきてな…理由を言わないからまだ保留だと言ったんだが、国近くんは本気だったのか…」
国近の机を見て溜息をつく社長。
「っ違います!あの、必ず連れ戻しますので、どうか辞表はそのまま、保留のままで、ちょっと国近さんのところに行ってきます!」
「あ、東洞くん!?」
そう言い切ると、尊は慌てて会社を飛び出していく。
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