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第292話
慌てた様子で会社から出てくる尊。
会社の入り口近くで様子を見ていた優志が引き止める。
「尊!!どこに行く!」
「優志さん!国近さんがッ、急に会社を辞めて…僕、国近さんの家に行ってみます!」
「やめとけ、お前が探せば探すほど、国近は遠くへ行ってしまう」
そう、尊の腕を掴み引き止める。
「え、…どういうこと、……まさか!!」
「……」
「優志さん、まさか、国近さんに人払いの法をかけたんですか!?」
「……」
「嘘ですよね、優志さん、応えて!!」
凄い剣幕で問い詰める。
「…かけた」
「ッなんで!?」
「アイツとはそういう約束をしていたんだ、国近も了承して自らかかりにきた、今回のことの責任を取るために」
尊の命を脅かした、当然の代償だ。
「今回のって、国近さんも力を貸してくださったじゃないですか」
「俺たちに嘘をついた、柚木の家に連れて行き、お前も俺も危険に晒した」
「それはっ、柚木くんが苦しんでいたから国近さんは助けようとしただけで!」
「俺たちに嘘をつくことが問題なんだ、アイツはもう信じられない」
「そんなことはないッ伝えるべきか伝えないべきか最良を考えて行動する人なんです、それにこんな大ごとになるとは思ってなかったはずです、そんなことで禁術をかけるなんて…」
「尊、落ち着け、」
なんとか落ち着かせようとなだめる優志だが…
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