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第298話
「解術の法、開。此の者にかけられし呪術を今一度我が手によりて、解印し、一切を無に返せ」
優志が唱えながら、紙符のようなものを額に押し付けてきた瞬間、全身にズシンと重みを感じ、それが次第に霧散していくような感覚が身体を支配する。
「ッ、ぁ…ハァ、ハァ…」
全身の力が抜けてしまいそうになり、ガクッとと片膝をついてしまう。
「解術の法、結。」
優志は集中を解き、身体を支えながら声をかけてくる。
「大丈夫か?」
「あぁ、ハァ…」
「なら車へ乗れ、尊が待っているから」
「すまないな、」
なんとか歩き出しながら、優志の車に乗り込んだ。
優志に連れられ、再び東洞家へ到着する。
はやる気持ちを抑え、脇の小扉をくぐると…
「国近さん!!」
尊が駆け寄ってくる。
「尊…」
自然と駆け寄っていた。
そのままギュッと抱きついてくる尊。
「たける…」
その身体を包み込むように抱きしめる。
名前を呼ばれ顔を上げる尊…
瞳が重なり…
抑えられない想いが溢れ出す。
そっと頬に手を添えて、その可愛らしい唇へ優しく口付ける。
「ん、ッ…っ」
オーラを感じぴくんと震える尊…
優志の目の前で、何度か口付け、深く絡み合う…
「……」
「っ、ハァ、国近さん、僕、怒ってるんですよ!キスくらいじゃ許しません」
「すまなかった…」
素直に謝るしか出来ない。
「勝手に別れるとか、僕の前からいなくなるとか、絶対許しませんからッ」
想いが余りポロポロと涙がこぼれ落ちる。
「俺も、お前がいないと駄目みたいだ…愛している尊」
その涙をそっとぬぐい、もう一度、愛しいその人へ優しく口付ける。
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