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第299話
「っ、僕の方がいっぱいいっぱい愛してます!国近さんのこと、だから、僕の前から勝手にいなくならないで…約束してください…ッ」
ぎゅっと抱きついて、そう懇願する尊。
「…そうだな、約束する」
「…っ良かった、よかった…ふ、国近さんが帰ってきてよかったっ」
また、ぽろぽろと涙が溢れ出す。
「ありがとうな」
優しく抱きしめ、愛しく想いながら囁く。
「優志も、ありがとう」
「……二度はないからな」
優志からはキツめの言葉が返ってくる。
「優志さん!!そんな意地悪言うんだったら、僕もう口聞きませんよ!」
すると、尊が怒って言い返す。
「え、」
驚いて言葉をなくす優志。
「ふ、ははっ、強くなったな尊、大丈夫…優志は俺が同じ過ちをしないように心配してくれただけだから」
「そうなんですか?」
「……はぁ、昔の可愛い尊に戻ってくれ」
うなだれて、優志は大きな溜息をつく。
「尊は今も可愛いだろう?」
「まあ、そうだけど!!あぁ、俺の可愛い尊がこんなオヤジに…」
そう地団駄を踏んでいる。
「すまんなオヤジで」
苦笑いすると…
「絶対お前を超える神級のオーラを持つ尊の嫁候補を見つけて連れて来てやるから、覚悟しろよ!」
「はは、」
「僕の意思を無視しないでください!優志さんのそういうところが嫌いなんですよ」
尊は優志をキッと睨んで牽制する。
「ぐッ…俺はいつだって尊の為を思っているのに…」
再びうなだれる。
「子離れする時期が来たんだよ」
まあまあ、と肩を叩いてやると…
「子離れって、お前の方が親子みたいだろ!年齢的に!!」
元気よく指差して言い返してくる。
「だな、なら父親兼恋人ということで」
「犯罪だ犯罪!!」
笑いながらかわすと、素早く優志のツッコミが入る。
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