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奥の手1

 もう説明するまでもないことだろうが、陸空は腐男子だが、男を好きになったことはない。いや、正確にはないとは言い切れなくなった。  妄想のおかずにしていた友人の大祐が、告白めいた台詞を投げかけてきて以来、それまで以上に頭の中をその友人が占めることになってしまった。  とは言え、いざ付き合うかどうかと言われたら、まだその勢いには乗り切れない。そのため、大祐には煮え切らない返事をしている。  何しろ、互いにノンケ同士だ。妄想だけは人一倍逞しい陸空からすると、男同士でノンケとなると、色々と支障が出ることを心配していた。要するに、体的な意味だ。何とも気の早い心配である。 そんなことまで考えてしまっている時点で、既に大祐を受け入れる体勢になっているのだが、当人はそれに気が付かずに大祐に持ちかける。

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