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お近づきの印に1

 大祐の貞操の危機を救うために立ち上がったのはいいが、ドン引きというよりも唖然として陸空を見つめる坂田と不知火。そこに畳み掛けるようにして、陸空は赤裸々に性癖を暴露し始めた。 「お二人のカップリングは、我らにとってはなくてはならない存在でして、もはや神と崇めたいほど素晴らしいうんぬんかんぬん」 それを長々と聞かされた坂田と不知火は、宇宙人でも見たような顔をしていたが、慣れている大祐は立ち直りが早かった。 やれやれと首を振りながらも、陸空の意図を汲み取ったのか、成り行きに任せてくれている。 「待て。分かった、お前の熱意は十分伝わったから、もういい」 思惑通り、うまく「お遊び」の件は流れたようだ。しかし本来の目的を忘れるほどに熱をあげて説明していた陸空は、やや不満に思いながら渋々口を閉ざした。 一方で、自らの身の危険を察知したらしい坂田は、不知火を急かすようにしていそいそと踵を返して逃げ出そうとしている。反対に、不知火は面白いものを見るように口許を弛めると、陸空に顔を寄せて囁いた。 「君、面白いね。今度は俺が君たちの追っかけでもしようかな」 「えっ」 陸空が驚いて声を上げると、不知火はくすくすと笑いながらひらりと手を降り、立ち去った。真意を確かめる暇も与えられなかったが、不知火は底が知れない。体格からすると坂田が上だと思っていたが、逆もあるかもしれない。 「今度、二人の馴れ初めでも聞いてみたいな」 「馴れ初め?」 思わず本音がぽろりと漏れたところで、大祐が怪訝そうに聞き返してきた。何やら不機嫌そうにも見える。 「怒ってる?」 「いや?なんかあの不知火って人、人をいたぶって喜んでそうだなと思って」 「なになに?大祐、あんな人がタイプなの?」 「ばか、俺はお前が……」  間の悪いタイミングでチャイムに遮られた。  大祐は苛立ったように髪を掻き乱すと、恐らく無意識だろうが、陸空の手をしっかりと握って引っ張った。よもやこのまま教室まで行くのだろうかと思い、一人密かににやけてしまったのは秘密だ。

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