22 / 34
本文20
○寝室
音愛(ね、眠れない……っ)
同じベッドに寝ている音愛と天。
天は仰向けでくうくう眠っている。
音愛は天に背中を向け膝を曲げ小さくなっている。
天が唸りながら寝返りをうち音愛の身体の上に天の腕が乗る。
その腕を退かそうとするが寝ぼけた天に手をぎゅっと握られ、そのまま身体ごと引き寄せられてしまう。
背中から抱きしめられる格好となり、ドキドキしすぎて目がまわりそうな音愛。
音愛(どうしよう……このままじゃ、また……)
パニック症候群の症状が出るのでは? と不安になりぎゅっと目を閉じるが、ドキドキするだけで過呼吸や意識消失には至らず、それを不思議に思う音愛。
音愛(あれ? ドキドキするけどなんともない)
ホッとして良かったと胸を撫で下ろす。
音愛(天さんの手……あったかい)
背中で天の鼓動を感じ、握られた手の温もりに安堵し、だんだんと眠りにおちていく音愛。
ともだちにシェアしよう!