18 / 32
凛香さんの涙
「ナオ、初めてだろうと思って、昨日は、最後までせず、我慢した。今すぐにでも、挿れようか!?泣いても、どんなに嫌がっても止めるつもりはない」
彼の声は怒りで震えていた。
耳朶を甘噛みされ、下着ごと一気に下ろされた。
「信孝さん!」
そのまま、シーツに押さえ付けられた。
「ちゃんと言うから、やぁっ・・・ん!」
Tシャツをたくしあげ、背中を、彼の唇が這いずり回る。
強く吸い上げられる度、勝手に腰が揺れ、声にならないか細い嬌声が上がる。
「あっ!」
前をくつろげ、熱くたぎる彼の雄が、蕾に押し当てられた。
「信孝さん、信孝さん!」
一瞬、意識がフワリと飛んだ。
気が付けば、夢の中で見たあの男性が、じろりと、僕を見下ろし、自身の浅黒い塊を捩じ込もうとしていた。
「いやだ、いやだ、いぁあ・・・!!」
ありったけの声で叫んだ。
心拍数が一気に上がる。
はっ、はっ、
息が出来ないくらい苦しくて、苦しくて、シーツをかきむしった。
「ナオ、ナオ!」
信孝さんの声が遠くから聞こえる。
彼の名前を呼んで、手を伸ばすも、届かなくて。
その瞬間、ぷつりと意識が途絶えた。
ここは・・・どこ!?
次に目が覚めた時、暖色系の天井と、カーテンがまず目に入って、それから、椅子に座り、僕の片方の手を握り締めたまま眠る信孝さんの姿が目に入った。
「の、ぶ、た、か、さ・・・ん」
力が入らない手をひっしで伸ばし、爪先がようやく彼の髪に触れた。
もう、怒ってない!?
穏やかな寝顔ですやすや眠る彼に問いかける。
ごめんなさい
ちゃんと言うべきだったのに・・・
ともだちにシェアしよう!