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彼の告白と凛香さんの涙

「信孝は、知っていたよ。それでも、凛香さんと一緒になるつもりでいた。でも、ナオへの気持ちをどうしても押さえられなかった。彼を失うのが、一番辛い・・・それに気が付いてしまったから」 「凛香、ごめん。一番悪いのは俺だな」 信孝さんが、おもむろに立ち上がり、窓の外に目を遣ると、曇天の空の下、はらはらと雪が静かに舞っていた。 それから、四人で色んな事を話しをして、昆さんは、そんな僕らを温かく見守ってくれていた。 「ナオくん、ありがとう。お互い、幸せになろうね」 女性は強い。彼女は、シングルマザーとして、生きていく覚悟を決めていたのだから。 そして、凛香さんは、これから健診だからと、光希さんと一緒に、同じ病院内の産科へ向かっていった。 「お邪魔ですね」 状況を察した、昆さんも、出ていこうとしたけど、今度は信孝さんが止めた。 「昆に立会人になって欲しい。゛兄゛として」 兄!?ん!? 今、そう聞こえたけど。 兄って事は・・・。 二人は兄弟!? えぇぇ! 僕は心の中で叫んだ。 「分かりました。ここで、見てますので、どうぞ」 信孝さんが、僕の方に向きを変えた。 「どうした!?」 「昆さんとその・・・兄弟・・・なの?」 「あぁ。龍とは母違いだ。ちなみに、本妻の子供でもないが・・・まぁ、ナオには難しいかな!?」 「うん、全然分からない」 「まぁ、そのうち説明するよ」 優しく微笑みながら、信孝さんが、片膝を立てて、ひざまづく。その真摯な眼差しに、胸がキュンキュンしたのはいうまでもなく。 「ナオ、左手出して・・・」 言われたままに差し出すと、薬指に、銀色に輝くリングをはめてくれた。 「サイズ合うか心配だったけど、良かった」 信孝さんの笑顔が一段ときらきら輝いて、 「俺と結婚してください」 彼が何を言っているのか最初は、理解出来ず、ぽかんとしてしまった。 「新たに戸籍を作り、遼禅さんの養子になる形にはなりますが。良かったですね、夢がかなって」 昆さんの言葉に、我に返った。 「待って、男の僕が信孝さんのお嫁さんって」 「大丈夫です。その為に龍成さんを先に帰らせたんです。まぁ、ナオさんの方が、逆に驚かれると思いますけど」

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