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彼の告白と凛香さんの涙

ん!? 昆さんのその言葉の意味がいまいち理解出来なかったけど、彼の両手が、僕の手に重ねられ、それどころではなくなった。 真摯な眼差しで再度、見詰められ、耳まで真っ赤になった。 「年が明けたら、実家に挨拶にいこう。ナオの、過去も、現在も、未来も、俺に守らせてくれ。総てが愛おしい・・・愛している」 彼の誠心誠意の告白に胸が熱くなる。 これ程、大切に思われていたなんて・・・。 苦しい恋の先には、本当の愛が待っていたんだ。 「僕も、です」 今更、気恥ずかしいなんて言ってられないんだろうけど。恥ずかしいのは恥ずかしいんだから仕方ない。 昆さんが、静かに、病室から出ていき、信孝さんが、ゆっくりと体を起こす。 髪に触れる彼の手。 見詰められ、見詰め返し、お互いの指を絡ませる。 彼の指には、お揃いの指輪がはめてあった。 「ナオ、いい!?」 こくっと頷くと、彼の唇が、僕の唇にそっと重ねられた。まるで、誓いのキスの様に。 しんしんと降り積もる雪・・・。 静寂の中、お互いの鼓動、息づかいだけが、静かに響いていた。 共に生きると決意してくれた彼に、もっと愛されるよう努力しないと。 「 そういえば、今日、クリスマスだったね」 彼がふと何気に口にしたその一言で、僕は、一つ思い出した。 「信孝さん、僕の誕生日!」 「もしかして、今日!?」 「ううん、一とった数、二月二五日!思い出した!」 「じゃあ、一緒にお祝いできるね」 「うん」 他愛のない会話でも、こうして笑い合える。 それが、こんなにも幸せを感じるなんて。 ずっとずっと、続きますように・・・。

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