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彼と満ちる想い

退院時、二、三日は安静ですから、ナオさんに、あまり無体な事をしないように、と言っていた昆さんの言い付けを、律儀にも信孝さんは守ってくれて、丁度、バイト先が、年末年始の最も忙しい、かきいれ時に突入してしまい、朝から夜まで、家を空けたりで、疲れているだろうからと、キス以外の事はしなかった。 信孝さん自身、休みに入り、毎日何一つ言わず送り迎えと、家事全般を引き受けてくれた。仕事が長引いて、三十分以上彼を待たせた時は、流石に怒られると思ったけど、彼は辛抱強く、駐車場で待っていてくれた。 ゛共働き夫婦だからこそ、お互い、助け合わないと゛ 笑顔で、そう言われると、何も言えなかった。 「ごめんなさい」 お風呂から上がり、キッチンで洗い物をしていた信孝さんの背中にしがみつき、顔を背中に埋めた。 「いちいち気にしなくていいよ。明日も仕事だろ?もう十時だし早く寝た方がいい」 「明日、午後からにして貰った。だって、明後日、信孝さんの実家に行くでしょ。その・・・そこでするわけいかないだろうし・・・」 自分から誘うなんて、顔から火が出るくらい、恥ずかしかったけど、信孝さんの方が、僕よりもっと我慢しているはず・・・。 「嬉しいな、ナオから、そんな風に誘ってもらえるなんて」 信孝さんの表情が緩んだ。 「これを片付けて、急いでシャワーを浴びてくるから、ベッドで待ってて」 「う、うん」 返事はしたものの、動けずにいると、彼が、頬っぺたにチューをしてくれた。

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