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番外編 はじめてのママ友

はぁ~~めちゃくちゃ緊張する。 晴と未来の手を繋ぎ、襖の前で何度も深呼吸した。 卯月未知さん。 年は僕より1つ上。 彼の話しだと、未知さんは両性で16歳の時未婚で一太くんを産み、18歳の時、元龍一家の跡目だった卯月遥琉さんと結婚し、すぐに遥香ちゃんが産まれたって。 一太くんの出生に至る経緯を彼はなかなか話してはくれなかった。でも、ママ友として未知さんと付き合っていく覚悟があるならと、重い口を開いてくれた。 「いつまでそこに立ってるのかしら?」 紫さんの声が後ろから聞こえてきて振り返ると、おほほと上品に笑う彼女と目が合った。 「未知さんとママ友になりたいんでしょう。ならこんな所で立ち止まっている暇なんかないんじゃないのかしら?」 その言葉に背中を押され襖を開けようとしたら、すっーーと静かに開いて、男の子と女の子がニコニコと笑いながら、晴と、恥ずかしくて咄嗟に僕の後ろに隠れた未来に話し掛けてきた。 「ぼくのなまえはうずきいちた。はれくん、みくくんはじめまして。おともだちになってもいい?」 「あたち、ハルちゃん。にちゃいだよ。あそんでくだちゃい‼」 初めて会うのに、人見知りもせず緊張もせず二人は大きな声で自己紹介をしてくれた。 晴と未来は面喰って目をぱちぱちしていた。 「初めまして一太くん、遥香ちゃん。晴と未来です。よろしくね 「おにいちゃんは?」 「あっ、僕?二人のママの縣ナオです」 「ナオさん、ママね、まだおともだちがいないんだ。だからなかよくしてください。はれくんとみくくんとあそんでもいいですか?」 ハキハキと受け答えがちゃんと出来て、まだ五歳だということが信じられなかった。 あの伝説のヤクザ、播本の曾孫だ。 年に似合わずしっかりている。 ゆくゆくは龍一家、いや、昇龍会を背負って立つヤクザになるだろうよ。 お義父さんの言葉をふと思い出した。

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