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〇岸田医院・診察室・中
こぢんまりとした診察室だ。古いが整理
整頓されている。
洸龍が、怪我をした唐笠小僧を治療して
いる。
雪弌N「この俳優でもやっていた方がよさそう
な見映えの岸田洸龍という人間は、半年前、
亡くなった祖母の君江の岸田医院を継いだ」
治療を終えて帰る唐笠小僧。
洸龍にお礼を言って去る。
洸龍モノローグ(以下M)「人間だの妖怪だの
オレは一体、何科の医者なんだ?」
銀髪の美しい青年が入る。
人型の雪弌だ。
着物を着こなす美しい青年姿だ。
銀髪がさらりと揺れる。
雪弌「不服そうだな」
洸龍「そうじゃねぇよ。まだ慣れないだけだ」
雪弌「君江は随分と早くに馴染んでいたが」
雪弌の細腕が妖しく洸龍に絡む。
洸龍、机上の時計をチラと見る。
時計は十二時三十分を過ぎている。
雪弌の腕を振りほどくことなくカルテを
書きながら、
洸龍「昼飯なら先に食ってていいぞ」
雪弌「洸龍、私にそういう態度でいいのか?
そろそろ精の供給が必要な時期だろう?」
諦めたように手を止め、
洸龍「これ書いたらすぐ行く」
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