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   光太郎、洸龍に抱き着く。 光太郎「でもボクのさびしいより、  洸兄ちゃんの方がきっと……」    子供の体温の温かさを感じる洸龍。    洸龍、少しだけ目元が優しくなる。    光太郎は決意したように顔をあげ、 光太郎「でも、それにさ、それにさ、  洸兄ちゃんのせいじゃないよね!」    洸龍が面食らい、噴き出す。    岸田兄弟のやり取りを見て微笑み、 洸龍「光太郎は賢いな」 雪弌M「きっと洸龍だってわかっている。  生まれた時からつきまとう人生の理不尽に、  長く戸惑っているだけだ」    光太郎、はたと振り向く。    そして、雪弌に尋ねる。 光太郎「あれ? じゃあ雪ちゃんはずっとこの  おうちにいたってこと?」        雪弌が頷く。 雪弌「岸田家の血と契約しているからな」    そして自分の手の平を見つめる。 雪弌「お前がこうやってオレと会話できるの も、おしゃべりカラスと話せたのも、この血 の契約のおかげだ」 光太郎「そっかぁ」    洸龍、よいしょと光太郎を立たせる。    光太郎の瞳をみつめ、 洸龍「だから、将来的には雪弌のことをお前に 頼みたい」    光太郎は子供ながらに考えてから、 光太郎「雪ちゃんはそれでいいの?」    雪弌、今にも泣きだしそうなのを悟られ    ないように堪える。顔を背けたが、 心細く肩が揺れた。    立ち上がり、出て行く雪弌。

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