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「…た、けみ、や、さん……ン、く」 ああ、やばい。燃える。興奮する。 もうこのまま俺を殺してくれ。好きな人の…武宮さんからの濃厚なチューで死ねるなら本望だ。キスで窒息死なんてロマンチック過ぎる。今の俺には武宮さんが「妹の彼氏」なんていう言葉は頭になどなかった。むしろ俺が武宮さんの彼女になったかのような気分に陥っていた。 「武宮さ、ん、…は、ぁァ」 「……っ、は…、」 そして俺は武宮さんの低くて荒い息遣いに更に興奮したのだった。ああ、やばい。勃起してしまった。こんなに密着しているのだから武宮さんに気付かれてしまうかもしれない。 俺はそれだけは気付かれたくなくて、身を捩る。 「……っ!?」 そして身を捩ったのと同時に太股に当たったゴリっとした硬い物体に驚き、俺は息を止めた。 ……え、…っ、え? こ、これって、武宮さんの…? 「あ、…っ、は…ぁ」 もしかしなくても武宮さんも俺と同じように勃起しているのだろうか。…やばい、嬉し過ぎる。 というか、武宮さんは全然不能じゃないじゃんか。妹よ、お前の勘違いだ。 そんなことを思いながら、「俺なんかのキスで勃起してくれている」という事実が嬉しくて、俺は自分から舌を絡めてみた。 「ふ、あ…ァっ」 「…は、」 そうすれば武宮さんは俺の頑張りに応えるかのように、もっと深い口付けをしてくれた。それはとても乱暴で強引で舌が食べられてしまいそうだと思うくらいに激しい。折角今まで頑張って武宮さんの唾液を一滴すら零さず飲み込んでいたのに、もう飲み込む余裕がないほど俺は武宮さんのキスに溺れた。 「ひ、ああァ」 武宮さんのキスはお世辞にも優しいと言えるような甘いキスではない。だけど俺はこのキスが大好きだ。 「ン、く、…はあ…ァ」 全て喰われてしまいそうな錯覚に陥るような乱暴な口付け。口内を荒々しく貪り、そして時折俺の熱を持った頬を手の平で撫でてくれた。その手付きは、乱暴な口付けをしている人とは別人だと思うほど優しい。そのギャップが、…もう堪らない。 「あ、…ン、武宮、さ…」 「……、どうした?」 「は、あ…、ァ、…もう」 何もかも限界だ。 武宮さんとのキスだけでもう射精しそうだ。それに息苦しい。 「も、…おれを、殺して…っ、」 そう。 このまま。 武宮さんとのキスで俺の息を止めてくれ。きっとこのまま死ねたらすごく幸せだと思う。言うつもりはなかったのに、高ぶる感情が止められなくて武宮さん本人に頼み込んでしまった。一体高宮さんはどんな表情をしているのだろうか。 …涙で滲んだ視界はぼやけて、武宮さんの表情がはっきり見えない。呆れているだろうか。それとも気味悪がっているだろうか。それとも、それとも…。そんな風に悪い方向ばかり考えていれば、急に押さえつけられた手をギュッと更に強く指を絡められ握られた。 「…はァ、ぁあ…ぁ」 そしてそれと同時に、グイっと腰を押し付けられた。 「ひゃ、ああ…ァ…?」 そうすれば必然的に勃起したお互いのペニスが布越しで擦れ合う。 「ふあ…ァあああっ」 ああ、どうしよう。 こんなの耐えられない。もうこの事実だけでイってしまいそうだ。武宮さんとこんなことが出来るなんてまるで夢のようだ。妹さえ武宮さんとしたことがない行為を俺は武宮さんとしているんだ。キスも、性器の擦り合いも。それが堪らない優越感に浸れる。 ごめん。 ごめん。 ごめんなさい。 駄目な兄でごめんなさい。 だけど、だけど、俺はこの人が好きなんだ。 この人、…武宮さんでないと駄目なんだ。 「あ、ああ…っ」 「……っ、」 「もう、こ、殺して、」 「……」 「殺して、ああ、…ンはあ」 このままでは妹から武宮さんを無理矢理にでも奪ってしまいそうだ。それだけは、したくない。だからこのまま武宮さんのキスで俺の息を止めて欲しい。 こんな自虐的な子、武宮さんは嫌いだろう。 いいよ。嫌われたっていい。だから、俺のこと嫌ってもいいから、このまま殺して。 「た、けみやさ、ン、ひぃああ…、」 「…俺の手で殺せと?」 「ン、…っ、ふあ…ァ」 「そんなの、絶対有り得ない」 「ひぁあ…ァ、ンっ、んんん!」 「……、っ、…」 武宮さんの乱暴なキスと、布越しでのペニスの刺激で俺は下着の中に大量の精を放った。それと同時に疲労感に襲われて、俺はそのまま意識を失った。 ……武宮さんが、何かを喋っている途中で。

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