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ベリアルのプレゼント《9》
「話は纏まったか?」
「べ、ベリアル様!?」
急に部屋の奥から出てきたベリアルに、ラルドは腰を抜かしそうになる。
どこで話を聞いていたのだろう…。
というか、もし断っていたらどうなっていたのだろうかと、ラルドは生きた心地がしなかった。
「お前の所で働くそうだ」
「なら、早速支度をしろ」
「し、支度…?」
ベリアルに命令され、もしかして働くのは明日からではなく、今日からだったかとラルドは首を傾げる。
「何を間抜けな顔をしている?これから、私の城で住み込みで働くのに、何の荷物も持たずに来るつもりか?」
「す…………、住み込みぃ!!??」
そんな話は聞いていないラルドの叫びが部屋に木霊する。
ただでさえ、ベリアルの城勤めは命がけだというのに、四六時中命の危険に晒されながら生活するというのだろうか。
ラルドは今にも逃げ出したい気持ちになる。
「当然だ。これからお前には、私の城の庭の管理を任せるのだからな」
「ええっー!?」
「給金も今までの三倍出そう」
「さ、三倍!?」
(今までだって、ベルゼブブ様に雇われていて、けして
少なくは無いお給金を頂いているのに、
その三倍!?)
それだけ責任のあるポストという事だろう。
次々と放たれる衝撃的な命令に、気絶してしまいそうになる。
ベリアルの城で働くと言ってしまった事を、猛烈に後悔するラルドであった。
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