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ベリアルのプレゼント《11》

その日から、私の日課が増えた。 毎日掃除やお洗濯をして、庭園に行き、ラルドさんのお手伝いでお花達の御世話をする。 ベリアル様と一緒に暮らせて、その上楽しい事が、どんどん増えていく。 それに、ベリアル様が私を喜ばせようと色々考えてくれている。 私は、何て幸せ者なのだろう。 ラルドさんには御迷惑を掛けてしまって申し訳なかったけれど、何よりベリアル様が私の事を気に掛けてくれている事が嬉しかった。 「ベリアル様…?」 「何です?」 ベリアル様のお部屋の扉からおずおずと顔を覗かせれば、ベリアル様が不思議そうに首を傾げる。 もうお仕事が一段落ついている御様子に安堵して、ベリアル様の前へと歩を進める。 だけど、どう切り出そうか困って口篭もってしまう。 困っていると、先を促す様に優しくベリアル様が頭を撫でてくれた。 「…私、ベリアル様にお礼がしたいのに、何もお返し出来なくてすみません…」 肩を落として伝えれば、ベリアル様が笑う。 「私に礼がしたいのですか?」 「はい…。でも、私は何も持っていないので、ベリアル様にプレゼントするものが…」 「私が喜ぶプレゼントなら、あるじゃないですか。ここに…」 トンッと、ベリアル様の人差し指が私の胸に触れる。 「えっ……?」 一瞬言われた意味が分からなくて、瞬きを繰り返す。 だけど、ベリアル様の艶めいた視線に、えっちな意味だとすぐに理解して、体中の血液が沸騰してしまいそうになる程に体温が上昇するのを感じた。     

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